寒天好き

寒天を愛でよう。 古い日記を掘り起こせ。

貴方の事が好きなんですよ。 
頭の中で山口さんが言うので 
私は多分、山口さんを好きになった。 

しかし大変なことに現実の山口さんには子どもがいて 
もっと大変なことに私は山口さんの娘だった。 

1人娘だから大事にしなくては と 
山口さんは娘さんに赤い靴を買っていた。 
白い靴が欲しいな、ぼんやり思って 
今履いている赤い靴のストラップを外して 
ぽーいと外に投げ捨てた。 

山口さんのことが、愛しくって仕方無いのに 
山口さんは、どうやらお父さんらしい。 
しかし、私の父は3年前に他界していて 
もっというなら、私の父はオカマさんで 
仮に私が娘でなくても好きになったりする筈はない。 

けれど頭の中ではいつでも山口さんの声。 
私の名前を呼んで、好きですと呟く。 
私も好きです。口の中で囁いてみたが 
前世や来世に届くわけもなく 
私はどうやら、山口さんと結ばれる運命にあるらしい。

 

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット