寒天好き

寒天を愛でよう。 古い日記を掘り起こせ。


仕事がうまくゆかず、ああもう、と何度も頭をかきむしり、いちにちが過ぎようとする。 


バスの中でも、ああもう、とつぶやいてしまい、靴先から心底人生を投げ出してしまいそうになる。 

うまくゆかない時は読書もはかどらないし、スマートフォンのバッテリィは「充電してください」の表示が出ていてひやひやするし、溜め息を大きくついてみたりする。 


よるべなく窓の外を眺めると、若い男が颯爽と自転車をこいでいるのが見えた。手元が明るいから、携帯電話か何かを見ながら運転しているに違いない。 


私より仕事ができて、人生もスマートに進んでいるに違いない。 



ああ、もう、と鼻から言葉を吐き出したら、後ろの席から小さな話し声が聴こえてきた。 


運転手に内緒で、小さな声で携帯電話で会話しているらしい。 


下生えをね、苦心して。 

と、聴こえてきた。 


そう、苦心して、みつあみ、してみたの。 


その言葉に、えぇ、と驚いたのと、私が降りる停車場に到着したのが同時だった。 




私は席を立ち、こっそりと後ろの座席を伺ったが、そこには誰も座っていなかった。 


明日も、仕事だ。




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