だいすきだったくまから 電話があってなんだか 背中がかゆくてたまらないもう 会えないとおもっていたのにあきらめたはずなのにおもってたのは 自分だけと びくんとしたなので 山芋をすりおろしてたべた …
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2016年06月
雨の好きな人
あごを上げて煙草の煙を吐いた。 カッパと眼があった。 天井にはりついていた。 男のカッパだった。 見つめ合った。軽く笑った。 カッパも軽く笑った、ように見えた。 そのまま知らない顔をして、 手紙の続きを考えた。 天井に向かって、もひとつ煙を吐いた。 カッ …
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洗い立てを夢見て踊りながら僕らは
布団にくるまってみれど眠れなくて、思い立って洗濯をすることにした。 家中にある夜を集めて、洗濯機に放り込む。 ぐるぐるぐるぐる2時間。 脱水した夜を再び家の中に放す。 少ししっとりと冷たいけども、やっぱり洗い立ては気持ちいい。 夜に頬ずりしながら眠ること …
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やさしいライオン
喧嘩をしていつの間にか仲直りをしていた。仲直りというわけでもなく、なかったことになっている。いつものことだ。 こんなとき、まぁそんなこともあるさと言ってくれるライオンも、今日は出張だ。 いつの間にかいつも大人でいなくてはいけなくなったからライオンも出張に …
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永すぎた春
昼間から庭でビールを飲んでいたら、 向こうのほうで隣の家の太った猫が もちもちと二足歩行の練習をしていた。 知らないふりをしていてあげたが、 猫のほうから「美味そうですね。」と 声をかけてきたので、「どうぞ。」と 一杯すすめてみた。 猫は匂いを嗅ぐと、黙 …
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