2015年12月23日| 細雪 このようにしんしんとした夜は心が高みへとんでしまう。 ふと思い出すあの人はついぞ消息を聞かない。 年末だからね、と無理に気をそらしてみる。 つるりとした暖かい背中に触れたいと思う。 いやむしろ二度と触れたくないのだろうか。 そういえば、私の短くした髪とモ … 続きを読む
2015年12月02日| こっぱみじん 好ましい青年と出会う。 どの角度から見ても好ましいので、好ましい青年と呼んでもいいかしら。ぼくで良ければそう呼んでください。お返事さえ好ましい。 その好ましい青年の鼻には槍が刺さっており、大変に興味深い。その槍はおそらく木製だ。鼻に木製槍を刺していながら … 続きを読む
2015年12月01日| 欲望 発熱のからだのほてりは、酒に酔ったときのそれと似ているのだろうか。甘えた声で電話をしてやさしくされれば、よけいにさみしさを自覚した。 風呂上りの息子がさむいさむいとやってきた。ほらおいで、とあたたまった蒲団のなかへ招き入れる。ほどなくして彼はすやすやと寝 … 続きを読む