寒天好き

寒天を愛でよう。 古い日記を掘り起こせ。

月を見ていたら月から馬車がやってきた。馬車を牽いているコオロギが『僕のお嫁さんを知りませんか』と聞くので朝までカラオケに付き合ったら教えると答えたら『僕の声はマイクを通りませんから残念ですが他をあたります』と言い、馬車をギイギイいわせながら地中へ潜ってい …
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(note/おやすみホログラム)失われたいろいろのものたち、 でも本当に失ったのではなく、世界のどこかに今もある。ほとんどは小さいものだが、大きいものも二つあって、一つはコート、一つは犬だ。『ほとんど記憶のない女』ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス) [新書]リデ …
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この都市から抜け出すのは簡単だ。ただ電気を切る。動物の目を見る。少女の歌う、とても古い歌を聞く。 『動物園 世界の終わる場所』 動物園―世界の終る場所 [単行本]マイケル ヴェンチュラ学習研究社1997-04  …
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(里咲りさ - シャイガール戦争) 「お国のために、糸をつくり続ければいいじゃない」『お国のための糸繰り』(レモン畑の吸血鬼) レモン畑の吸血鬼 [単行本]カレン・ラッセル河出書房新社2016-01-26 …
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(サトウトモミ)エネルギーのあるものとつきあうとき、ふたつの方向性があると思います。ひとつは、自分が力のある存在になって完璧にコントロールしようとする方向。もうひとつは、どこかを開いたままにして、 力を閉じ込めない方向。『はしっこに、馬といる』はしっこに …
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まねきケチャ『きみわずらい』ふとした春の匂いで忘れてしまうくらい、軽い気持ちで好かれていたい。小指が触れ合うだけで体温がゆれうごいて、いつもどちらかが傷ついているんだって教えてくれるのは、魔法みたいだ。夜空はいつでも最高密度の青色だ [単行本(ソフトカバー …
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Maison book girl / lost AGE「ついておいで」うながされるときには、たいてい、ついていってはまずいのだ。松林が黄の結晶を深く からこぼしながら今日のからくりやさしい幾何学吸い上げて揺れる高くへついていくなら それはもう、子どもがはがれかけている木の皮みたいに。 …
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恋する円盤 "テイクディスワルツ"マイナスをゼロにしただけの、そんな相対的幸せで 満足して、目を閉じて、毎日9時間睡眠 することが本当にすべてを満たすのか。疑ったまま、こんなところまで来てしまった。青春で何一つ捨てられなかった私は。相手もいないのに、今でもひた …
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(カネコアヤノ)未来が消える瞬間を見届けたくて、今を過ごしているわけではない。希望を持って、ただ毎日を暮らしたい。レモン畑の吸血鬼 [単行本]カレン・ラッセル河出書房新社2016-01-26  …
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(倉沢よしえ / おねえちゃんの唄)伝統主義者や、図書館の「特性」を守りたいと思う一部の「知識人」はこう言うのである。図書館は、本を読んだり勉強したりするために残された最後の静寂の場所であり、自宅にそうした場所のない人もいる。だから、図書館をおしゃべりの場 …
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Summerboy / Beautiful Days シュナウザー犬が、ベランダに取って付けてあるパイプにぶら下がっている。 昨日から一晩中、である。 気が散るので、素晴らしい忍耐力ですね。しかも、表情が昨日から全く変わっていませんね、と声をかけたら黙って家の中に入り、私の食べか …
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 (ふるのつばさ)いろんなことが、いっぺんに起こらないために、時間がある。 いろんなことが全部一人の身に起こらないために、空間がある。 同じ時のなかで [単行本]スーザン・ソンタグエヌティティ出版2009-09-11  …
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近いことが素晴らしく、遠いことは悲しいなんて、思い込みかもしれない。遠く離れているからこそ、 関係が輝くことだってきっとある。今は、離れることを嫌いだと感じている。でも、嫌でなくなるときが、いつか来る。そんな予感がする。『美しい距離』山崎ナオコーラ美しい …
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М и р/ミールとてもよく晴れているので、カーテンをしめ、ビアガーデンをひらくことにする。 札幌がだだを捏ねるといけないから、ろ過はしない。 「未ろ過の地ビール」って、かわいい。 「未ろ過の地」が、とくにかわいい。 おいしいし、かわいいので、ついつい昼から …
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"とびきりのおしゃれして別れ話を"目覚めてゆく森の姿を、その外側から眺めていたい。 …
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明日原宿へ行く。とってもお洒落で綺麗なお姉様と原宿へ行くので セクシーにするかキュートにきめるか朝から夕方にかけて鏡の前でうんうんうなっていたら 『じゃあ、あたし寒がりだからインド綿のロングスカートでキュートにするわ』 と私そっくりなのが鏡から出てきた。 …
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家の近所を散歩していると、 一軒の家の前に短冊が備えつけられていた。 見ると、 『ご自由にお書きください』 とのこと。 駅まで向かった帰りに、またそこを通ると、 いつものノラ猫たちが集まっていた。 彼らのお願い事を訊ね、代わりに書いてやる。 『海外旅行に …
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物語自体が、そもそも不在の物語なのだ。 波止場日記――労働と思索 (始まりの本) [単行本(ソフトカバー)]エリック・ホッファーみすず書房2014-09-11  …
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遊園地へ ゆく。  アイスクリームを たべる。夕食のあとは  外で 缶蹴りを する。昼のあいだ ずっと 夢でも みているようだ。 十月はハロウィーンの月 (詩人が贈る絵本) [単行本]ジョン アップダイクみすず書房2000-10  …
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虫に刺された。季節なのだろう。ちょっと面倒だったのでほうっておいて、朝目覚めたら芽が出ていた。双葉も開きかけており困惑する。抜くと少しいたがゆい。ただ、少し赤みがかった芽を育ててみたい気もしないでもない。どうしよう。全て抜くのは忍びない。 そのままにして …
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朝からいがいがと喉が痛む。鞄にチョコレートとエンドウ豆とを入れて行きつけの薬局へ向かう。途中、立て看板があり、「右:薬局。左:夕焼け」とある。まだ午前中なので夕焼けを見てからでも薬局へ行く時間はあるだろうと鑑みて、左手に向かうことにした。行き着いた先で見 …
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だいすきだったくまから 電話があってなんだか 背中がかゆくてたまらないもう 会えないとおもっていたのにあきらめたはずなのにおもってたのは 自分だけと びくんとしたなので 山芋をすりおろしてたべた   …
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あごを上げて煙草の煙を吐いた。 カッパと眼があった。 天井にはりついていた。 男のカッパだった。 見つめ合った。軽く笑った。 カッパも軽く笑った、ように見えた。 そのまま知らない顔をして、 手紙の続きを考えた。 天井に向かって、もひとつ煙を吐いた。 カッ …
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布団にくるまってみれど眠れなくて、思い立って洗濯をすることにした。 家中にある夜を集めて、洗濯機に放り込む。 ぐるぐるぐるぐる2時間。 脱水した夜を再び家の中に放す。 少ししっとりと冷たいけども、やっぱり洗い立ては気持ちいい。 夜に頬ずりしながら眠ること …
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喧嘩をしていつの間にか仲直りをしていた。仲直りというわけでもなく、なかったことになっている。いつものことだ。 こんなとき、まぁそんなこともあるさと言ってくれるライオンも、今日は出張だ。 いつの間にかいつも大人でいなくてはいけなくなったからライオンも出張に …
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昼間から庭でビールを飲んでいたら、 向こうのほうで隣の家の太った猫が もちもちと二足歩行の練習をしていた。 知らないふりをしていてあげたが、 猫のほうから「美味そうですね。」と 声をかけてきたので、「どうぞ。」と 一杯すすめてみた。 猫は匂いを嗅ぐと、黙 …
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雨が降っていて薄暗い。出掛けるには早すぎるし、退屈なのでしばらく窓の外を見ていると、だんだんと雨粒がかたつむりに変わっていった。小さなぐるぐるとしたものが、心なしか嬉しそうに落ちていくので、なんとなくしょんぼりする。それらは大抵、ぺたりと上手く着地してそ …
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どこも開けていないのに、雨の夜は家のなかが雨の匂い。 肌寒さが心地よい。 雨はいやだけれど、雨の匂いは捨てがたい。 遠くで鳴いている、かえる達。 明日晴れるかな。 …
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空が騒がしいと思ったら、椋鳥がたくさん電線に集まっている。一回り体つきの小さいのがいるのでよく見るとメジロが一羽混ざっていた。「気付いちまいましたか。奴さん一緒に渡ってみたいなんて言いましてね。」と、リーダーらしき椋鳥が教えてくれる。「カモメのジョナサン …
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「みじろぎもせず健康法」という健康法を、子どもに習わせにゆく。とにかく、落ち着きのない子どもで、一瞬たりとも静かにしていることがない。  教室の外から見ていると、子どもがしきりに叱られている。どうにも動いてしまってしかたがないらしい。  ためしに私もやっ …
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納豆巻きが食べたい気分だったので、コンビニにゆく。 くらい道をどんどんゆく。 ついてみると、ない。昨日ははあったのに、ない。 あんまりがっかりしてうずくまっていると、店員さんが、この先のコンビニに、きっと、きっとあります、と言ってくれたのですこし元気にな …
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髪をばつんと切ると、いきなり視界がひらけた。 このように広々とするならば、若いうちから切っておくべきだった、と少し悔やむ。 すうすうと風がうなじを通り越す。 視界が広くなると、いままで見えなかったものがみえてくるらしい。 白くまが内股気味で歩いていたり  …
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8/21(wed)星も顔を出さない真夜中。遠雷光るが音は聞こえず 、蒸した空気が体にべたつく 。車通りの途切れの静けさに葉音が鳴る 。自転車を漕ぎ家路につくきながら、スマホをいじりながら今夜聴く音楽をYouTubeでさがす。 エリック・クラプトンのchage the worldを不意に …
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仕事がうまくゆかず、ああもう、と何度も頭をかきむしり、いちにちが過ぎようとする。 バスの中でも、ああもう、とつぶやいてしまい、靴先から心底人生を投げ出してしまいそうになる。 うまくゆかない時は読書もはかどらないし、スマートフォンのバッテリィは「充電してく …
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部屋のカーテンの裏から、小さな女の子が出てきた。 15センチくらいの女の子。 私に向かって 「なんで泣いてるの?」 って聞く。 「みんな、ばかなんだよー」と返したら、 女の子はフランス女みたいに両肩を軽くあげたあと 私の右足の甲の上に座り 「あなたって子どもね」 …
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赤タコと青タコのボクシングを見る。 あ、いま足使いましたよ、キックは反則ですよ、と白クマさん。 そうか、足は使っちゃいけないのね殴り合いだものね、と当たり前のことを思ってしまった。    …
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悲しいことや苦しいことが、なくなったわけじゃない。 すべてが現在進行形。 でも、ようやく現実感がもどってきた。 足の親指の先っちょが、地面についた感じ。 哀しみは、もぐら叩きゲームのもぐらに似ている。 もぐら叩きゲームは、好きだった。 ピョコピョコと顔を …
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猫は犬より好きでない。でも嫌いでない。明日の土曜に猫がくるという。 二人で久しぶりの肴もいいと思う。 おいで、と返した。歓迎しようと思ってる。   …
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部屋のカーテンの裏から、小さな女の子が出てきた。 15センチくらいの女の子。 私に向かって 「なんで泣いてるの?」 って聞く。 「みんな、ばかなんだよー」と返したら、 女の子はフランス女みたいに両肩を軽くあげたあと 私の右足の甲の上に座り 「あなたって子どもね」 …
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ほっぺのにきびから芽が生えた。 すこし自慢げにわらってみる。 ぴくりと動いた。 太陽の下に出れば、もっと伸びるだろう。 なんだか嬉しい気持ちがする。   …
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今日もマッサージ店の窓口に立っていると閉店間際の客があった。年配の師施術者がこの時期は大変ですねと声をかける。客は、「いやぁ、我々も民間になったしね。頑張らなくちゃ。でも、夏休みに入って子供の速達が増えちゃってさー。昨日は雨にやられて子供が膨らんじゃって …
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哀しい夢をみて目を覚ます。あまりにも哀しく身動きが出来ない。突然の大雨、竜巻で水が部屋に浸水し風が壁を壊す。ベッドが船のよう街に流されていくが、哀しみの為に身動きが出来ずに空を静かに眺めつづける。遠くでサギの鳴く声がした。   …
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春がやってきた。ことことと戸を叩くので戸を開けてみると春がいた。玄関先で丁寧な挨拶をするので家の中に招き入れると「つまらないものですがお納めください」とこごみやたらのめふきのとうによもぎなどがどっさり入ったかごを差し出された。「ご丁寧にどうも」とかしこま …
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女の子のスカートのポッケには、愛が一個入っている。 …
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窓から冷気が忍び込んできて部屋の中で遊んでいる。 ごろごろ、ごろごろあっちに行ったりこっちに来たり。 わたしは布団の中でぬくぬくとそれを眺めている。 と、冷気が布団に潜り込んできた。 冷気が「ぬくいぬくい」と肌に寄り添ってくるので身震いをする。 わたしと …
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『親指サイズの双子の妹』が、ベランダの窓際で飼い犬の一匹と遠い半月を眺めている。淡い湿度の濃い桃色のため息を吐きながら「セツナイワネ。セツナイワネ」と繰り返し。冬の空は都会のガスも吹き飛ばし、私の居場所さえも曖昧にしてくれる。こんな夜は雪が降れば良いのに …
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あんまり空気がつめたいものだから、吸い込んだ拍子に腹の底がヒャッとしてしまった。 腹をさすりながら、「中から攻めてくるなんて卑怯じゃないか」とひとりごちる。 すると、右上のほうから、「すいませんねえ」と返事があった。 「すいませんねえ、何分、こちらも仕事 …
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このようにしんしんとした夜は心が高みへとんでしまう。 ふと思い出すあの人はついぞ消息を聞かない。 年末だからね、と無理に気をそらしてみる。 つるりとした暖かい背中に触れたいと思う。 いやむしろ二度と触れたくないのだろうか。 そういえば、私の短くした髪とモ …
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